人物列伝

十一月の教室 ― 長崎商業高校、九十分の出前授業

Garoop NovelCh.02
教室には、商業科の二年生が四十人ほど座っていた。最初の十分間、生徒たちの表情は、戸惑いと、わずかな警戒で固まっていた。スーツを着ていない、若い起業家。聞いたことのない会社。長崎で起業? と、首を傾げる子もいた。山下は、その空気を、ゆっくりと変えていった。スライドではなく、ホワイトボードに、ガルちゃんの絵を、手で描いた。「シングルマザーの、カンガルーです。子どもの養育費を稼ぐために、生成AIを学んでいます」。教室に、ぱらぱらと、笑い声が起きた。緊張が、少しずつ、ほどけていく。授業は、ようやく、本当の意味で、はじまった。
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育てる・調教・産む