人物列伝

鎌倉の窓辺で ― カマクラウドの税理士・清水小綾の流儀

Garoop NovelCh.05
夕方になると、小綾は窓を開け、潮風を取り込む。鎌倉の街は、観光客が引き上げ、地元の人々の生活時間に戻っていく。江ノ電のレールが、夕陽でオレンジに染まる。「税理士の仕事は、地味で目立たない。でも、誰かの『今夜眠れる』を支えている」――その実感が、彼女を前に進ませる原動力だった。お客様から届く、感謝の手紙。子どもの誕生報告。事業拡大の知らせ。それらは、決算書の数字よりもずっと、彼女の宝物になっていた。机の引き出しの奥には、創業からの十年で受け取った手紙の束が、丁寧に保管されている。それを見るだけで、彼女はもう一度、明日も頑張ろうと思える。
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育てる・調教・産む