人物列伝

鎌倉の窓辺で ― カマクラウドの税理士・清水小綾の流儀

Garoop NovelCh.02
「先生、本当に困ってまして……」最初の来客は、創業二年目のパン職人だった。利益は出ているはずなのに、口座にお金が残らない。確定申告の時期が近づき、頭の中は数字でいっぱい、夜も眠れない――そう肩を落とす男性に、小綾は穏やかに言った。「大丈夫ですよ。一緒に整理していきましょう」。彼女は、領収書の山を前にしても顔色一つ変えない。むしろ、誰かの混乱を解きほぐす瞬間が好きなのだ。「税金は、ただの罰金じゃないんです。国に納める意義と、節税できるラインの両方を、ちゃんと知ることで、はじめて安心してビジネスができる。だから、一緒に勉強しましょう」。その言葉に、男性の瞳に光が戻った。彼が事務所を出る頃には、肩の荷が、確かに軽くなっていた。
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育てる・調教・産む