長崎物語

浦上の祈り ― 八月九日、灯篭の夜まで

Garoop NovelCh.05
十一時二分。長崎平和宣言が、市長によって、読み上げられる。会場の千人を超える参列者が、静かに、聞き入る。テレビとラジオを通じて、宣言は、全国に、世界に、配信される。「核兵器のない世界の実現は、人類共通の目標です」――その言葉は、同じ趣旨で、毎年、繰り返される。しかし、毎年、その意味の重さが、深くなっていくように、感じられる。世界の情勢が、決して、楽観できない今、長崎の声は、ますます、重要になっている。「被爆地から、世界へ」という長崎のメッセージは、政治の文書ではなく、人類の祈りそのものだった。
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