長崎物語

浦上の祈り ― 八月九日、灯篭の夜まで

Garoop NovelCh.04
爆心地公園で、修学旅行の中学生たちが、立ち止まっていた。引率の先生が、慰霊碑の前で、静かに、黙祷を促している。子どもたちの中には、戸惑いを感じている子もいる。「正直、よく分からない」と、一人の男の子が、ぽつり、つぶやいた。それを聞いた、地元の語り部の男性が、優しく、声をかけた。「分からなくて、いいんです。でも、分からないまま、立ち止まってくれたことが、大事です」。彼は、自分自身が、被爆二世であり、十代の頃は、同じように、戸惑っていたと話した。「戸惑いから、いつか、自分なりの平和への思いが、芽生えます。それを、大事にしてください」。
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育てる・調教・産む