長崎物語

浦上の祈り ― 八月九日、灯篭の夜まで

Garoop NovelCh.03
浦上天主堂の鐘の音が、八時十五分に近づくにつれて、街全体に、静かに響き始める。被爆当時、ここに立っていた天主堂は、爆心地から、わずか五百メートル。一瞬で、瓦礫となり、信者の方々が、多く犠牲になった。戦後、信徒たちの手で、再建された天主堂は、今も、毎週、ミサを行っている。「祈りは、止めない。それが、亡くなった方々への、私たちの応え方」――地元の司祭は、そう語る。鐘の音は、長崎の街を、優しく抱きしめる。それは、祈りの音であり、同時に、誓いの音でもあった。
3 / 8 ページnagasaki-monogatari-004
育てる・調教・産む