人物列伝

聴くという仕事 ― オール社会保険労務士・須田朋美の十年

Garoop NovelCh.04
朋美が社労士を志したきっかけは、学生時代に両親が経営していた小さな会社の倒産だった。労務管理が雑だったことで、優秀な社員が次々と離れていき、最後には資金繰りが行き詰まった。「人を守ることは、会社を守ること」。その教訓を、彼女は二十代の頃から胸に刻んでいる。資格取得の勉強は深夜に及び、何度も心が折れそうになった。けれど、その度に、工場のシャッターを下ろした父の背中を思い出した。「次の世代の経営者には、同じ思いをさせたくない」。それが、彼女の出発点だった。あの日、シャッターと一緒に閉ざされたものを、彼女は別の場所で、別の人のために、開け続けている。
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育てる・調教・産む