人物列伝

補助金の海図 ― 谷戸の町工場、三代目の挑戦

Garoop NovelCh.04
補助金は、ただのお金ではない。それは、事業の『起爆剤』であり、同時に、新しい責任の入り口でもある。小綾は、健一に何度も伝えた。「採択されたら、そこからが本番です。設備投資、雇用、計画通りの実行、報告書の提出。三年〜五年の伴走になります」。健一は、静かに聞いていた。「先生、それでも、私はやりたいんです。父から受け継いだ工場を、息子の世代に渡すために、いま、変わらないといけない」。その目は、補助金そのものではなく、その先にある、自分の工場の未来を見ていた。
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育てる・調教・産む