人物列伝

補助金の海図 ― 谷戸の町工場、三代目の挑戦

Garoop NovelCh.03
事業計画の言語化は、二人三脚の作業だった。小綾は、健一の話を、ひとつずつ問い直していく。「ここで使う『品質』って、具体的に何を指しますか?」「お客さんが評価してくれる『うちならでは』は、何ですか?」。健一は、職人の言葉で答える。小綾は、それを、補助金申請者に伝わる言葉に翻訳する。「『ミクロン単位の精度』、これは『顧客が他社では実現できないと評価する加工精度』と書きましょう」。文字に直された自社の強みを、健一は何度も読み返した。「うちの工場って、こんなにすごい仕事してたんやな……」。
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育てる・調教・産む