人物列伝

聴くという仕事 ― オール社会保険労務士・須田朋美の十年

Garoop NovelCh.06
夜、彼女は最新の法改正を学ぶために、机に向かう。社会保険労務士の仕事は、時代とともに変わり続ける。働き方改革、ハラスメント防止、テレワーク、フリーランス保護――新しい制度が登場するたび、現場で混乱が生まれる。朋美はその橋渡しをする役目を担う。難解な条文を、社長にも社員にも分かる言葉に翻訳し、現場で使える形にまで落とし込む。「制度を作るだけじゃダメ。使われて、はじめて誰かを救える」。その視点こそ、彼女が最も大切にしているものだった。深夜のデスクライトの下で、彼女は細かい字を追いかける。誰かの『働きやすい明日』が、その一行の解釈にかかっていることを、彼女は知っているから。
6 / 8 ページsuda-sharoushi-001
育てる・調教・産む