人物列伝

聴くという仕事 ― オール社会保険労務士・須田朋美の十年

Garoop NovelCh.07
ある日、朋美のもとに古い相談者から電話があった。十年前、倒産寸前の状態で出会った会社が、いまや百人を超える企業に成長していた。「あの時、先生に出会ってなかったら、今の私たちはありません」――社長の声は震えていた。朋美は受話器を握りしめ、目を閉じた。脳裏に浮かんだのは、両親の倒産した工場の薄暗い光景。その記憶を超えて、いま、目の前に灯っているものがある。それは、人を守った先に生まれる、確かな未来の灯りだった。電話を切ったあと、彼女はしばらく窓の外を見ていた。社労士の十年は、決して華やかな道のりではなかった。けれど、こんな夜のために、自分は歩いてきたのだと、静かに思った。
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育てる・調教・産む