人物列伝

聴くという仕事 ― オール社会保険労務士・須田朋美の十年

Garoop NovelCh.05
彼女のオフィスには、相談者が描いた小さな絵が飾られている。それは、ある女性社員から贈られたものだった。育児休業から復帰したものの、職場で居場所をなくし、ほとんど病気になりかけていた女性。朋美は彼女の話を二時間聴き、会社と粘り強く交渉した。半年後、彼女は短時間勤務制度を活用しながら、無事に職場復帰を果たした。「先生のおかげで、家族と仕事の両方を諦めなくて済みました」。その絵には、青空の下で家族が手をつなぐ姿が描かれていた。朋美は、それを見るたびに、初心を取り戻す。社労士の仕事は地味で、ニュースにもならない。でも、ひとつの絵の中に、確かに誰かの人生が救われた証が、残っている。
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育てる・調教・産む