人物列伝

坂の街から漕ぎ出して ― 株式会社Garoop代表・山下大貴の挑戦

Garoop NovelCh.03
起業初期は、何度もくじけそうになった。プロダクトを作っては壊し、壊しては作り直す。仲間が離れ、資金が尽きそうになる夜もあった。「もう東京に戻ったほうがいいんじゃないか」――そんな声が、何度も自分の中で響いた。それでも、彼が踏みとどまったのは、長崎という街が彼に与えてくれたものが、あまりにも大きかったからだ。海と山と歴史。多文化が交差してきた港町の懐の深さ。「長崎は、僕に『世界とつながる』ということの本当の意味を教えてくれた街なんです」。そう語る彼の目は、出島の歴史を見つめる学生のように、まっすぐだった。挫けかけた夜にこそ、坂の街の灯りが、彼を支えていた。
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育てる・調教・産む