長崎物語

浦上の祈り ― 八月九日、灯篭の夜まで

Garoop NovelCh.06
復興した街並みの中に、傷の痕跡は、今も残っている。爆心地から数百メートルの一本柱の鳥居、被爆した楠木、原爆資料館に並ぶ被爆遺物。それらは、観光地の華やかな看板の裏側に、静かに、しかし、確かに、息づいている。長崎を訪れる旅行者の多くが、最初は、観光地としての賑わいに惹かれて、街にやってくる。けれど、街を歩くうちに、その賑わいの下に、深い祈りが、流れていることに、気づき始める。「明るさと、深さ」――それが、長崎という街の、二重の魅力だ。両方を、訪れる人は、自然と、感じ取る。
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