長崎物語

市電のリズム ― 坂の街を編む一本の糸

Garoop NovelCh.06
浦上方面から思案橋まで、市電の一往復は、長崎を縦に貫く旅だ。爆心地に近い浦上を出発し、長崎駅、新地中華街、賑橋を経て、思案橋へ。それぞれの駅に、それぞれの街の物語がある。浦上では、被爆と復興の歴史。長崎駅では、新しい再開発の風景。中華街では、福建の食文化。賑橋では、出島の名残。思案橋では、夜の歓楽街の灯り。一往復、約四十分。長崎の歴史と現在を、四十分で巡る、世界一短い時間旅行と言っても過言ではない。市電は、ただ移動するだけじゃない。乗っている時間そのものが、街を、味わう時間だった。
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育てる・調教・産む