人物列伝

産休前夜 ― 美咲さんの未来図、社労士からのバトン

Garoop NovelCh.01
六月、梅雨の合間の晴れた朝。須田朋美の事務所に、産休に入る予定の女性社員・美咲が訪ねてきた。お腹は大きく、もうすぐ三十六週。「先生、産休に入る前に、どうしても相談したくて」。彼女の声には、喜びと、不安が、入り混じっていた。「私、復帰できるんでしょうか。会社に、迷惑をかけずに、子どもを育てながら、働き続けられるんでしょうか」。朋美は、静かに微笑んだ。「美咲さん、まず、産休と育休の権利は、あなたの当然のものです。誰にも、遠慮しなくていいんですよ」。窓の外、紫陽花が、雨に濡れて、深い青を湛えていた。
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育てる・調教・産む