人物列伝

老舗の春 ― 甘香堂、四代目への暖簾

Garoop NovelCh.05
誠が見せた商品開発のアイデアは、和菓子のサブスクリプションサービスだった。月替わりで、季節の上生菓子を、全国に届ける。クラウドで顧客管理し、SNSで物語を発信する。里子は、最初は戸惑った。「うちは、店で買ってもらってナンボ」――彼女の世代には、なじみの薄い形だ。しかし、誠が「祖母の作る和菓子を、祖母を知らない人にも届けたい」と言った時、彼女は静かに微笑んだ。「うちのお菓子が、誰かの楽しみになるなら、それは商売の本懐や」。小綾は、その会話を聞きながら、税理士という仕事の喜びを噛みしめていた。
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育てる・調教・産む