人物列伝

移住者の確定申告 ― 鎌倉のイラストレーター、はじめての一年

Garoop NovelCh.07
確定申告書を電子提出した日、二人は事務所の小さなテーブルで、温かいお茶で乾杯した。「無事、提出完了です」――小綾の声に、優子は深く息を吐いた。「先生のおかげで、初めての確定申告が、思ってたより、ずっと豊かな経験になりました」。緑茶の湯気が、二人の間で揺れた。「私、来年は、自分でやってみたいです」と優子は言った。「もちろん、難しいところは先生に相談しながら、ですけど。でも、自分の事業を、自分で説明できるようになりたい」。それは、税理士にとって、最高の言葉のひとつだった。
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育てる・調教・産む