長崎物語

卓袱の食卓 ― 丸い卓に、世界が集う

Garoop NovelCh.05
江戸時代の長崎人の食生活は、いまの日本人が思うよりも、ずっと、国際的だった。卓袱料理だけでなく、家庭でも、中華の調味料、ポルトガルのお菓子、オランダの保存食が、当たり前のように、食卓に並んでいた。長崎は、四百年前から、すでに『多文化共生』を、食を通じて、実践していた街だった。「うちの祖母も、その祖母も、たぶん、家でカステラを焼いていた」。英子は、そう言って、小さく笑った。彼女の家には、明治時代の卓袱料理の献立表が、家宝として、残っている。それを見ると、当時の食材の豊かさに、驚かされる。
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育てる・調教・産む