長崎物語

浦上の祈り ― 八月九日、灯篭の夜まで

Garoop NovelCh.01
八月九日、夏の朝。長崎の浦上に位置する平和公園は、まだ陽が完全には昇っていない時間から、ゆっくりと、人々が集まり始めていた。今日は、原爆投下から、ちょうど八十一年目の日。式典の準備が、白い天幕の下で、静かに進められている。被爆者の高齢化が進み、語り部の数は、年々、減っている。だが、その代わりに、若い世代の語り部が、少しずつ、増え始めていた。彼らは、自分の祖父母から、ひいおじいさん、ひいおばあさんから、聞いた『あの日』を、自分の言葉で、伝えようとしている。継承――それは、長崎が、世代を超えて、続けている、最も大切な仕事だった。
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育てる・調教・産む