人物列伝

鍛校の十歳 ― 颯太と『お母さんが帰ってくる夕方』

Garoop NovelCh.01
颯太は、十歳だった。福岡の郊外、団地の四階に住む小学五年生。父親は単身赴任、母親はパート二つ掛け持ち、家には一人でいる時間が長い。ある夏の午後、彼は、YouTube で、ガルちゃんの紹介動画を、偶然、見つけた。シングルマザーのカンガルーが、生成AIで、絵本や文章を作って、生計を立てる。「お母さんも、こうなれるかもしれない」――颯太は、そう思った。動画の最後に、Garoop鍛校の案内が出てきた。十歳から、入校できる。Pro プランは年間五万二千八百円。彼の貯金箱には、お年玉とお小遣いが、五千円ほど、入っているだけだった。
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育てる・調教・産む