人物列伝

聴くという仕事 ― オール社会保険労務士・須田朋美の十年

Garoop NovelCh.01
朝七時、まだ街が寝静まる時間に、社会保険労務士・須田朋美の一日は始まる。彼女が代表を務める『オール社会保険労務士事務所』は、社員の働き方と、会社の運営、その両方を支える小さな砦だ。机の上には、未読の電話メモが三枚――『従業員から残業代について相談』『就業規則変更の問い合わせ』『労災の相談』。どれも、誰かの生活がかかっている内容だ。彼女は深く息を吸い、コーヒーを淹れる。湯気が立ちのぼる音だけが、静かなオフィスに響いた。「今日も、ちゃんと話を聴こう」――心の中で、自分自身に言い聞かせるように。社労士の仕事は、書類を書くだけではない。一人ひとりの声を、聴くところから始まるのだ。
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育てる・調教・産む