人物列伝

移住者の確定申告 ― 鎌倉のイラストレーター、はじめての一年

Garoop NovelCh.03
領収書を一枚ずつ広げ、小綾は穏やかに分類していく。仕事用の文房具、画材、書籍――これらは経費。でも、近所のカフェのコーヒー代は、打ち合わせなのか、自分の休憩なのか。「経費とプライベート、ここの線引きが、フリーランスの永遠のテーマです」と小綾は微笑んだ。「全部経費にしようとすると、税務調査で困る。逆に、必要な経費を計上しないと、税金を払いすぎることになる」。優子は、ノートに丁寧に書き留めた。「先生、私、これまで適当だった……ちゃんとしなきゃ」。「適当だったから、いま、ちゃんとしようとしてる。それで十分です」。
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育てる・調教・産む