長崎物語

長崎物語 ― 坂と海と、四百年の窓

Garoop NovelCh.04
長崎の食卓は、その歴史を映している。皿うどん、ちゃんぽん、卓袱料理――いずれも、外から入ってきた要素が、長崎の手で混ざり合い、独自の味になったものたちだ。中華の麺、和の出汁、洋のソース、それらが渾然一体となって皿の上に乗る。それは、長崎人の生き方そのものでもある。違うものを排除せず、自分の中に取り込み、新しいものを生み出す。カステラの甘さは、ポルトガルから来たレシピを、日本の砂糖と卵で何百年もかけて磨き上げた結果だ。一口のカステラには、地球を半周した物語が、こっそり潜んでいる。長崎の食を口にするということは、見えない歴史を一緒に味わうということでもある。
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育てる・調教・産む