■ はじめに:ブロガー転落劇が映す現実 生活保護に転落した元人気ブロガーの話題をきっかけに、木下氏は改めて“自営という生き方”の本質を語る。彼は高校時代から中小企業やフリーランスを見続け、25年で1万人以上の経営者に触れてきた経験から、成功と転落の分岐点を冷静に見てきたという。 「羽振りがよくても夜逃げする人、誠実にやっているのに潰れる人。どちらにも共通する『罠』がある」と木下氏は語る。 ■ 自営業には“短期の成功”と“長期の安定”がある 短期的に稼ぐことと、長く続けて稼ぎ続けることは全く別物だ。経営には必ず上げ調子と下げ調子があり、その波をどう受け止め、財務的にも精神的にもバランスを取れるかがカギになる。 ■ 自営5つの罠(概要) 1️⃣ 虚栄心の罠:SNSや表面的な成功演出に時間と資金を奪われる。実力よりも“見せ方”に傾くと崩壊は早い。 2️⃣ 利益率の罠:売上が増えても利益が残らない構造に気づかない。固定費と見栄の支出が拡大し、現金が枯渇する。 3️⃣ 財務管理の罠:帳簿をつけず、キャッシュフローを把握していない。資金繰りが破綻しても、感情で経営判断をしてしまう。 4️⃣ 価値観の罠:事業の目的が“承認欲求”にすり替わる。顧客の課題解決より、他人の目を気にするようになる。 5️⃣ 自転車操業の罠:頼まれ仕事に追われ、自前の事業を育てられない。外部依存の構造から抜け出せず、長期的な安定を失う。 ■ 木下氏の教訓:『継続できる構造を持て』 「頼まれた仕事ではなく、自分でつくった事業で予定を埋めること。それが経営の安定と幸福につながる」と木下氏は語る。インフレ社会では“値上げできる構造”を持つ者だけが生き残る。短期的な虚栄よりも、長期的な信頼と仕組みの構築が重要だ。 「ブロガーでも、飲食店でも、町工場でも同じです。派手さよりも継続。SNSの拍手より、請求書の入金。そこに経営の真実がある」 後編では、それぞれの罠を具体的な事例を交えて掘り下げていく。