■ 頼まれる仕事で終わらない経営 木下氏は「長く続く仕事の仕方」として、“頼まれる仕事で予定を埋めてはいけない”と強調する。自営業でも企業でも、永続的に成長していくためには、自前で作った事業を軸にすることが必要だという。 「初期は頼まれ仕事をしながらでもいい。しかし最終的には自前の商品・サービスを育て、それを中心に経営を組み立てないと、自転車操業から抜け出せない」と木下氏は語る。 ■ インフレ社会のチャンスとリスク 日本は30年のデフレを脱し、明確なインフレ局面に入った。2024年度の消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%上昇。宿泊、飲食、教育、医療、士業など、あらゆる分野で原価・人件費・地代の上昇が波及している。 木下氏はこの局面を「自前事業を持つ者にとってのチャンス」と見る。理由は明快だ。インフレ社会では、“値上げできる者”と“値上げできない者”の格差が、単なる収入ではなく、事業の生死を分けるからだ。 ■ 自前事業の意義 頼まれ仕事では価格決定権が相手にある。だが、自分の事業を持つ者は、自ら価格を決められる。つまり、インフレ時代における最大の防衛策は、“自分で値上げできる構造”を持つことだと木下氏は強調する。 「地方創生も同じです。地元の人が“自分たちで作る”事業を持つことこそが、地域経済を強くする。東京の下請けではなく、長崎から新しいモデルを発信することが重要」と語る。 ■ サラリーマンにも通じる『自前意識』 木下氏は会社員に対しても“価格決定権”を持つ意識を求める。「転職やスキルアップで自分の給与を交渉できる力を持つことが、インフレ時代のサバイバル術だ」と指摘する。 ■ 結論:地方創生は『自立』から始まる インフレは敵ではない。チャンスだ。大切なのは“自分の事業を持つこと”。地方創生も個人の経営も、結局はこの一点に集約される。木下氏のメッセージはシンプルで力強い──「頼まれる人ではなく、創る人になれ」。