長崎物語

卓袱の食卓 ― 丸い卓に、世界が集う

Garoop NovelCh.08
夜遅く、英子は、店の看板の灯りを、ゆっくりと消した。今日も、ひとつの卓袱料理が、無事に、終わった。「明日は、何を、お出ししようかしら」――彼女は、坂を下りながら、明日のメニューを、頭の中で、組み立て始める。長崎の坂の街は、相変わらず、静かに眠っている。けれど、明日の朝には、また、出汁の香りが、青柳の店から、立ち上るだろう。卓袱料理は、長崎が、世界と対話し続けるための、ひとつの言語だ。英子は、その言語の、生きた話者だった。海風が、彼女の背中を、優しく押していく。長崎の物語は、料理の湯気と共に、これからも、続いていく。
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