長崎物語

卓袱の食卓 ― 丸い卓に、世界が集う

Garoop NovelCh.07
ある夜、東京から来た商社のお客様たちは、卓袱料理を、心から楽しんで、店を後にした。「英子さん、あなたのお店は、長崎の宝物ですね」――その言葉に、英子は、深く頭を下げた。料理を通じた、異文化との対話。それは、四百年前の出島から、変わらず、長崎が、世界に提供してきた、最大のおもてなしだった。「お料理は、政治や経済より、ずっと、人の心を、近づけます」。英子は、そう信じている。卓袱の卓は、丸い。誰にも上座も、下座もない。皆で、同じ料理を、同じ卓で、味わう。それは、長崎が、世界に、提案し続けている、ひとつの『生き方』でもあった。
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育てる・調教・産む