長崎物語

長崎物語 ― 坂と海と、四百年の窓

Garoop NovelCh.02
夜になれば、稲佐山の展望台から見下ろす夜景が、街を別の顔に変える。世界三大夜景――一千万ドルの夜景、と呼ばれる光の絨毯。けれど、その光の一つひとつが、誰かの台所の窓だったり、書斎の灯りだったり、夜遅くまで頑張る誰かの机だったりすることを、私は知っている。長崎の夜景の美しさは、その『生活感』にある。観光地として作られた光ではなく、暮らしの灯りが集まって、結果的に世界を魅了する景色になっている。それが、長崎という街の、ささやかで、けれど確かな誇りだ。展望台の手すりに肘をついて見下ろすたびに、私は思う。あの光のひとつぶんに、私もなれているだろうか、と。
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育てる・調教・産む