人物列伝

十一月の教室 ― 長崎商業高校、九十分の出前授業

Garoop NovelCh.01
二〇二三年十一月十九日、長崎の朝は、空が高く澄んでいた。山下大貴は、車のハンドルを握りながら、長崎商業高校の校舎を目指していた。今日は、出前授業の日。生徒たちに、生成AIと起業について、九十分の話をする予定だ。Garoopを設立して、まだ七ヶ月足らず。プロダクトもまだ揃っていない。それでも、彼は『高校生に話したい』と、自分から学校に申し出ていた。「いま、生成AIを覚えて、それを自分の事業に変えていける高校生が、確実にいる。彼らに、いちばん早く伝えたい」――その想いが、ハンドルを握る手に、確かに、力を込めていた。長崎の路面電車のレールが、車窓の奥で、朝陽に光っていた。
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