人物列伝

五日間の連続ローンチ ― 出島の冬、Garoopが手を広げた週

Garoop NovelCh.06
ローンチの嵐が終わった夜、山下は、ひとりで出島の海風を浴びていた。出島交流会館の屋上に近いベランダから、長崎港の灯りを、ぼんやりと眺める。彼は、二〇二三年四月十七日に、この街でGaroopを設立した。あれから、ほぼ二年弱。最初は、何もなかった。製品も、社員も、利益もなかった。あったのは、『生成AIが出てきて、子供でもスタートアップ的なこと、いける』という、シンプルすぎる確信だけだった。「あの確信が、ここまで連れてきてくれた」――彼は、自分の中で、静かに頷いた。長崎の海風は、いつも、彼に、出発点を思い出させてくれる。
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