人物列伝

急成長の足元 ― 百五十人になったスタートアップの労務再設計

Garoop NovelCh.01
東京の港区、ガラス張りのオフィスビルの十八階。須田朋美は、エレベーターを降りて、急成長中のスタートアップ『LinerX』の受付に立った。創業四年目、社員数は二年前の五十人から、今では百五十人を超える。彼女が呼ばれたのは、人事責任者の変更と、労務体制の総点検のためだった。応接室で出迎えてくれたのは、CEOの三十代の男性。表情には、勢いと、わずかな焦りが見えた。「先生、率直に言います。うちは、走るのが早すぎて、足元の整備が、追いついていません」。朋美は、頷いた。「だから、今のうちに、立ち止まる時間を作るんです」。
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育てる・調教・産む