人物列伝

退職届の重み ― 夜の電話、組織を変えた半年

Garoop NovelCh.07
半年後、被害を受けた女性社員から、朋美に手紙が届いた。「先生、退職届を、撤回しました。会社に残ります。新しい部署で、新しい上司のもとで、もう一度、頑張ってみます」――そう書かれていた。手紙には、彼女の小さな娘が描いた絵が、同封されていた。「ママのお仕事の先生へ」。クレヨンで描かれた、笑顔の女性と、空に浮かぶ星。朋美は、その絵を、デスクの正面に貼った。「制度は、人を救うためにある」――その言葉が、いまもう一度、形になって、彼女の机を見つめていた。窓の外、夕暮れの空が、ゆっくりと色を変えていった。
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