人物列伝

鎌倉の窓辺で ― カマクラウドの税理士・清水小綾の流儀

Garoop NovelCh.01
鎌倉の朝は、潮の匂いと木造の梁を撫でる光から始まる。江ノ電の踏切音が遠くで響き、湘南の風が古都の路地を抜けていく。その一角、由比ヶ浜から徒歩数分のレトロな建物の二階に、税理士・清水小綾の事務所『カマクラウド』はある。「税理士」と聞いて多くの人が想像する、無機質なオフィスのイメージとはまるで違う。木の温もりと観葉植物に囲まれた空間は、相談に来た人がほっと息をつくための場所として設計されていた。彼女の朝は、お湯を沸かし、急須に茶葉を入れることから始まる。「数字に向き合う前に、心を整えることが大切なんですよ」――小綾はそう静かに微笑む。鎌倉という土地に流れる時間の柔らかさが、彼女の仕事の流儀そのものを形づくっていた。
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育てる・調教・産む