長崎物語

浦上の祈り ― 八月九日、灯篭の夜まで

Garoop NovelCh.02
佐知子さんは、二十四歳。地元の長崎大学で、平和学を学ぶ大学院生だ。彼女の祖父は、被爆者だった。生前、祖父は、ほとんど、原爆の話を、家族にしなかった。「あまりに、苦しかったから、話せなかったんでしょう」と佐知子は言う。祖父が亡くなった時、彼の遺品の中から、当時の手記が、見つかった。それを読んだ佐知子は、決意した。「祖父が話せなかったことを、私が、引き継ぐ」。彼女は、今、語り部として、修学旅行の中高生たちに、祖父の手記をベースにした証言を、伝えている。「私は、被爆していない。でも、祖父の記憶を、預かっている」。
2 / 8 ページnagasaki-monogatari-004
育てる・調教・産む