人物列伝

退職届の重み ― 夜の電話、組織を変えた半年

Garoop NovelCh.04
会社側との交渉は、慎重かつ、毅然と進めた。経営陣は、最初、加害者の立場を擁護する姿勢を見せた。「彼は、業績の出る社員で……」――その言葉に、朋美は静かに、しかし、強く反論した。「業績の出る社員が、誰かの心を壊す権利は、ありません。それを許せば、御社は、もっと多くの優秀な社員を失います」。彼女は、過去の判例、厚労省のガイドライン、企業のリスク管理の観点から、論理的に説明していった。経営陣の表情が、少しずつ、変わっていった。「先生、おっしゃる通りです。私たちは、対応を、誤っていました」。
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