人物列伝

補助金の海図 ― 谷戸の町工場、三代目の挑戦

Garoop NovelCh.06
採択の知らせは、ある朝、メールで届いた。健一は、すぐに小綾に電話をかけた。「先生っ、通りました! 通ったんですっ!」――声は、半分泣いていた。小綾も、湯気の立つお茶を持ったまま、思わず立ち上がっていた。「健一さん、おめでとうございます。これからが、本番ですよ」。電話の向こうで、健一の妻が、台所で泣いている声が、かすかに聞こえた。三ヶ月の不安が、ようやく、報われた瞬間だった。鎌倉の朝が、いつもより、少しだけ明るく感じられた。
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