長崎物語

市電のリズム ― 坂の街を編む一本の糸

Garoop NovelCh.02
古い車両と、新しい車両が、同じ線路を走る。一九五〇年代に作られた箱型の電車も、現役で走っている。木の床、アナログの吊り革、運転士の手動操作――それらが、令和の街並みの中を、堂々と通り抜けていく。一方で、最新型の超低床電車も、バリアフリー対応で、走っている。新旧が、対立せず、共存している。それは、長崎という街の、生き方そのものでもあった。「古いから良い、新しいから良い、ではない。それぞれに、必要な役割がある」――長崎の市電は、無言のうちに、それを教えてくれる。
2 / 8 ページnagasaki-monogatari-002
育てる・調教・産む